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京極堂人物大事典(仮)
京極堂のファンサイトです
益田龍一
『塗仏』
◆春先まで神奈川県の刑事だった。
◆民間人に好かれる警官を目指していた[本人]
◆探偵榎木津の助手。
◆「馬鹿」[榎木津]
◆「益田ちゃん」[司]
◆「マスヤマ」[榎木津]
◆長屋から文化住宅に移り住んで育った。神奈川の紛乱(ごみごみ)した街中で育った。幼い頃は貧しく、長じてからも飛び切り裕福な暮らしはした憶えもないが、父親が都会志向で、同世代の者よりはややモダンな生活[本人]
◆祖父母の顔を知らない[本人]
◆自分の父親のことを凄いと思ったこともあるが、反面困った親爺だと思うこともある。それなりに評価はしているものの、その評価も畏怖や尊敬の念とは程遠いもの[本人]
◆「榎木津の助手で益田君と云う――調子の好い若者」[中禅寺]
◆「蟻喰いが昼寝してるのかと思ってた」[潤子]
◆「下僕」[榎木津]

『邪魅』
◆上滑りするような軽口こそが最近の身上[本人]
◆肚の底から胸の裡と首から上の接続を切って、ただうかうかと軽薄に居きることこそが、現在の、唯一の処世術[本人]
◆本来、それ程明るい人間ではない。どちらかと云えば――否、確実に陰性(ネガティブ)な性質なのだろうと思う[本人]
◆周囲に殆ど暗い印象を与えないのは、偏に益田の日日の努力の賜物[本人]
◆明朗な思考に切り替えよう陽気に振る舞おうと努力している訳ではない[本人]
◆軽薄であらん刹那的であらんと弛まぬ努力を続けている。己の芯がすぐに深刻になってしまうから、場が深刻になるような状況が耐えられない[本人]
◆建設的にも楽観的にもなれないからこそ、上滑りすることで、そうした状況を遣り過ごす[本人]
◆決して不真面目なのではない。少なくとも悲観的な本音を晒すより、ことが巧く運ぶ場合は多い。だから嗤うのでも笑わせるのでもなく嘲われることを心掛けている。常に隙を作ることを心掛け、その隙を容易に相手に突かせる。半ば己を貶めて座の緊張を解く[本人]
◆不真面目と云うか調子の良い男[本人]
◆「礼二郎が恐らく放棄している普通の探偵の仕事を引き受けて、勝手にやっている」[今出川](本人も認めている)
◆ごく普通の探偵業務を熟している[本人]
西田新造
『邪魅』
◆出征していない。徴兵検査で弾かれた(結核が理由)。銃後は北陸の方に疎開していた[本人]
◆北陸療養所で人間らしい想い出は何ひとつない。煤けた白壁と喀血の朱色だけしか覚えていない[本人]
◆去年相展(神奈川県内中心のコンクール)に入選[本人・石井]
◆県内では著名な文化人[石井]
◆尋常小学校で石井寛爾と同窓[本人]
◆「どうも世の中のことを能く知らない。自他共に認める世事音痴。法律にも疎い」[本人]
◆法律について何も知らない。知らないから法を守っていると云う意識も破っていると云う意識もない[本人]
◆ただ、この半端に長い人生の中で経験的に学習してきた約束事(ルール)に基づいて善し悪しを判断しているだけ[本人]
◆物を知らないし、家族もいない。顔を合わせる友人も少ない[本人]
◆石井の知っている鎌倉の家は、疎開中に家事で焼けてしまった[本人]
◆終戦後は父の遺した大磯にある別荘に住んで居る。吉田茂邸の傍だから治安も悪くない。景色も綺麗[本人]
◆人生に起伏がない[本人]
◆何も起きないから、却って想像が逞しくなる[本人]
 
石井寛爾
『魍魎』
◆国家警察神奈川県本部の警部[地]
◆忙しいなどと云っているが、その実一日中その辺でうろうろしているだけ[木場]
◆「体が幾つあろうが」「幾つもある体がみんな挙って楽な現場に行くでしょうな」[木場]
◆へなちょこ。足手纏い[木場]
◆線の細い、如何にも役人然とした風貌[木場]
◆木場と同業者にはいえない。殺人現場に臨んだら貧血でも起こしてしまうのではないか[木場]
◆ヒステリックに裏返った声[木場]
◆采配が拙い[木場]
◆神経質そうな警部[木場]
◆情けない姿。憐憫の情を感じた[木場]
◆役人根性しか持ち合わせてねェ提灯持ち。波風が立たねェよう上のご機嫌を伺ってただおどおどしているだけ[木場]

『邪魅』
◆多少舌足らずだが、神経質そうで愛想はない[西田]
◆西田新造の学友[西田]
◆神経質で嫌味な感じは昔と変わらない[西田]
◆児童の頃から上昇指向の強い男[西田]
◆他人より上に行こう、何事も巧くやろうとする余り誤解されるような言動を執ることも多かった。嫌われはしないけれど腹を割って話すような関係にはなれない。――そんな感じを抱かせる男だった[西田]
◆能く見れば、その瞳に屈託のないことは判る。だが頬に、表情に屈折はある。成績は良いが、大将にはなれない。人脈はあるが人望はない。そう云う男だった[西田]
◆素養がないのか、芸術の方は爽然(さっぱり)具合が判らない[本人]
◆尋常小学校で西田新造と同窓[西田]
◆津久井署長
楠本頼子
『魍魎』
 柚木加菜子のことが本当に好き[本人]
 加菜子が瞳を閉じて、凝乎と音楽に聴き入っている時、頬や瞼に「そおっと」唇を当てたくなるが、同性愛嗜好者(レズビアン)ではない[本人]
 父親がいない。暮らし向きも裕福とは云えない。母が無理して入れた学校がぼんやりと苦痛[本人]
 学校で学ぶものは劣等感だけ[本人]
 容姿が優れている。
 母が連れて来る酒臭い男達が揃って好色な視線を向けるほど整った顔だち。
 幻想的で不思議な話がちょっと好き[本人]
 紅茶を飲み慣れていない。砂糖をたっぷり入れる[本人]
 長じるにつれて、母の美しさを男好きのする淫らな容姿、優しさを押し付けがましい愛情と思うようになる[本人]
 「頼ちゃん」[君枝]
 「楠本君」[加菜子]
 「少女」[木場]
 綺麗な顔。三つ編み。化粧気のない顔。生まれたての赤ん坊を思わせる肌理の細かい膚。「艶めかしさとあどけなさの同居した、不思議な生物」後五年か、十年経てばかなり美人になると思われる[木場]
 十四歳
 女になりかけている[木場]
 「制服を着た少女」[木場]
 木場が見覚えのある制服[木場]
 祈るような悲壮な表情[木場]
 「涙のひとつも流したら大抵は話がつく。その技が通用しないのは級友達くらいのものだ」「泣いてやった」[本人]
 眼差しが真摯[木場]
 本質が善く理解出来ない。嘘を吐いている訳ではないのだろうが、言葉のひとつひとつに現実感がない。
 どこか虚構染みている[木場]
 額面通り受け取ってはいけない[木場]
 小柄で華奢な体つき。濃紺のブレザージャケットに同色のスカート。綺麗な顔の娘[関口]
 無垢な少女[関口]
 昭和十三年の秋、誕生
 直山が嫌いのようだった[君枝]
久保竣公
『魍魎』
 昨年の暮れ、処女作の『蒐集者の庭』で文化藝術社主催の本朝幻想文学新人賞を受賞(山嵜)
 あまち関口の好きなタイプではない(関口)
 眉墨でも引いたようなくっきりとした細い眉。きついが涼しげな目元。どちらかと云えば美男子。髪の毛も如何にも手入れを怠っていないぞと云わんばかりに整えられている。整髪料の香りもする。身嗜みもちょっとした紳士(関口)
 白い手袋。防寒用ではなく、写真屋が嵌めているような薄手のもの。異様と云えば異様(関口)
 手先に何やら障碍があるらしい(関口)
 脳梗塞で倒れた荒川敦先生の代打であることについて→「埋め草」「駆け出し」(本人)
 関口の作品は総て読んでいる(本人)
 相手の話を最後まで聞かぬ性質(関口)
 才能も度胸も、関口は足下にも及ばない(関口)
 「青年文士」(関口)
 楚木逸巳が関口であることを見抜いているらしい(関口)
 白地に小馬鹿にした呼び方で関口に話しかけた(関口)
 相変わらずきっちり整髪し、面相筆で書いたような細い眉と、切れ長の目が吊り上がっている。黒い本天鷲絨(ビロード)のジャケットを着て、ネクタイの代わりにチーフをあしらった一寸した紳士である(関口)
 相変わらずの白手袋(関口)
 嘘吐き(関口)
 ナイフの如き鋭さ(関口)
 「彼は野趣溢れるマタギ料理でもする人か?それともアステカの神官か?」
 「医者には見えないな」(榎木津)
 
楠本君枝
『魍魎』
 雛人形の頭を作っている。若い頃は大層綺麗な女性だった[頼子]
 母程美しい人は知らなかったし、母程優しい人は存在しなかった[頼子]
 すべすべした肌は、かさかさと乾き、張りのあった顔に皺が刻まれていく。柔らかかった指は節くれだち、髪に白髪が混じる。刻一刻と醜くなっている[頼子]
 苦労して頼子を学校に入れた[本人]
 薄気味悪い母親[頼子]
 人の中に牛でも混じったように愚鈍な声[頼子]
 薄汚れたブラウスに煤けたスカート、乱れた髪を纏めるでもなく、おまけに汚いサンダル。相変わらず化粧をしていないから、もの凄く醜い。不恰好[頼子]
 頼子が「母さんなんか死ねばいいんだ」と言った翌日からおかしくなる。「もうりょう」と口にするようになり、落ち着きがなくなる[頼子]
 皺に刻まれた醜い顔[頼子]
 突然、「出て行け!もうりょう!」と頼子に掴みかかる[頼子]
 三十代半ばの頭師[関口]
 人形業界で云う三月物――雛人形を得意をしているらしい[関口]
家について
    家は三辻[しんにょうが辷]の角にあるため二辺を道に晒している。
   木造の平家で、道に面した低い板塀の内側に申し訳程度の庭がある。
   そこには貧弱な柿の木が植えられているが、平家の屋根を越す程の高さ
   すらない。隣家とも少し隙間が開いている。おまけにその隣家は二階家
   で、錆びたトタン板が瓦屋根の向こうに覗いている。反対側はどうやら
   空き地のようだ。
    比較対象物がないのだ。だから余計にスケール感が狂い、箱庭の中の
   建物のような印象になる。
    戸口は閉門にされた武家屋敷のように板が十文字に渡され、釘で打ち
   付けられている。ただし厳重と云うまでには及ばない。[関口]
 思ったよりずっと若かった。化粧も一切していないし、服装も質素と呼べる範囲を通り越している。普通であればこのような身なりをしたなら十は老ける。なのに君枝は十分若い。欲目に見ても歳相応には見える。元来若作りなのか。明瞭[はっきり]した目鼻立ちの、所謂美人なのである[関口]
 窶れていると云うか、疲れていると云うか、何か芯が抜けているのだ[関口]
 顔色の悪さは、この不幸な境遇に依るものではなく、不摂生や栄養失調から来るものではないか。目の焦点が合わぬのも、同様の理由に因るものだろう[関口]
 上げた顔に深刻さはない。ただ、疲労困憊している[関口]
 知人を介した、最初の夫との離婚の交渉は呆っ気なく認められた[関口]
 その後何人かの男に騙され、辛酸を嘗めるが如き日日を延延を送る。それでも君枝は頼子だけは手放さずに、それは大事に育てたらしい[関口]
 戦争中は古い縁故を頼りに、父の兄弟子の許に身を寄せていたと云う。その兄弟子は面倒見が良く、頼子にも良くしてくれた。彼の故郷は福島だったから、一緒に疎開して、そこで人形作りを教わったのだと君枝は云った。当時、君枝の父より年上の五十代後半の兄弟子に、親切の代償に肉体を求められ、愚かなことに拒まなかった[関口]
増岡則之
『魍魎』
 やけに目鼻立ちの派手な長い顔の男(木場)
 銀縁の眼鏡に高級そうな背広をきちんと着込む(木場)
 高圧的な口調。早口(木場)
 大層早口。澱みない瞭然とした発音。機械的な口調(木場)
 たぶん、高学歴者[インテリゲンチア]。苦手(木場)
 張りつけたような無表情(木場)
 「増岡先生」(陽子)
 拙い医学知識、希望的観測よりも正確な現実認識を重視しなければならない立場(本人)
 大層有名な方の使いの者。だからそんなに有名じゃない(榎木津)
 長身の男(榎木津)
 銀縁の眼鏡に長い顔。髪を七三にぴっちりと分けて高級そうな生地の背広を身につけている。目も鼻も大きい(榎木津)
 物凄く早口の男。答える間もない(榎木津)
 法律家・弁護士(名刺)
 柴田財閥及び柴田耀弘個人の顧問弁護士団と系列会社の役員で構成されるさる団体に所属する者(本人)
 「何て煩わしい男だろう」(榎木津)
 余計なことをずらずら喋るのが賢いことだと勘違いしている(榎木津)
 「こういう奴は京極堂に相手をさせた方がいい。気が合うかもしれぬ。ぺらぺら御託を並べているが、さるしか印象に残らない」(榎木津)
 要するに柴田の使い(榎木津)
 近寄ると顔が益々長い(榎木津)
 鼻息も荒い。少少臓躁的(ヒステリック)な印象(榎木津)
 事務的な口調。不幸な少女の悲惨な暮らし振りを伝えるに当たってはやけに効果的。お涙頂戴の陳腐な話も俄然真実味を帯びる。しかし、その後に連なる恋物語を語るに当たっては彼の語り口はあまりにも潤色に欠けていた(榎木津)
 関口なんかより学習能力は高い(榎木津)
 比較的無表情な方だろうが、眉の形と鼻腔の開き具合で心情が知れる。今までの苦労がその2点に集約されたような顔(榎木津)
 軽蔑混じりの、呆れたような視線(榎木津に対して)(榎木津)
 榎木津の元を初めて訪れた時の機械的な余所余所しさはたぶん仮面[ペルソナ](榎木津)
 


『塗仏』
柴田財閥顧問弁護団
目鼻立ちの明瞭とした、やけに長い顔(青木)
物凄い早口(青木)
発音は正確で発声が確乎りしているから聞き取り難いことはない(青木
少少高圧的に聞えるがそれほど高慢な男ではない(青木)
立派な紳士(中禅寺)
木場修太郎
『魍魎』
 今年で三十五歳。
 東京警視庁刑事部捜査一課の刑事。半年前、豊島区の所轄から本店に配属替え。先月(七月)上旬、所轄にいた頃関わった雑司ヶ谷の事件が終結を迎え、ひと月その後始末にかかりきりだった(本人)
 職業軍人だった(本人)
 終戦によって<敵>を喪失した(本人)
 敵と味方、善と悪と云った二元論的単純構造のみが居心地の善い世界(本人)
 警察を「法に背く者、制度からはみ出した者を取り締まり、指導したり摘発したりするとこと」と認識している(本人)
 ヘルシンキオリンピック(昭和二十七(1952)年、七月十九日~八月三日)を随分楽しみにしていたが、仕事に終われている内に終わっていた。
 中央線武蔵小金井駅が自宅の最寄駅。
 女性と巧くコミュニケーションがとれない(本人)
 女友達と云うものは存在しない(本人)
 柚木加菜子に見覚えがある(本人)
 知っている女は、鬼のような婦警か、悪魔のような犯罪者か、死骸(本人)
 凄むとかなりの迫力がある。ちんぴら程度なら睨むだけでいとも簡単に震え上がらせることが出来る(本人)
 「威圧的な同業者」(福本)
 巡査部長。駅から自宅まで歩いて十三分丁度(本人)
 実家は小石川で石屋。豊島区の所轄時代はそこから通勤。配属替えを機に家を出たが、本心では妹夫婦への遠慮があった。桜田門に通うには不便だが、何もないすかっとした小金井町を結構気に入っている。
 一人だけ片思いをしている相手は、美波絹子(本人)
 絵を描くのが好きな、神経質な子供だった(本人)
 几帳面、算盤が得意だった(本人)
 頑健な体格、魁偉な容貌(本人)
 針金のように太い髪の毛。異様に張り出た鰓。四角い顔に逞しい体。
 不器用(本人)
 冗談の利く男、容貌のわりに話術も巧み。水商売の女からは人気がある。
 生来聞き上手。
 相手が商売女だと、気楽に振る舞えるが、素人がとなるとからきし駄目(本人)
 「自分は中身の入っていない菓子の箱のようなものだ――」(本人)
 箱は丈夫で外から刺激には大層頑丈(本人)
 「三十五年間の間、別に手を抜いて生きて来たつもりはないが、結果的に外箱の紙を厚くしたり、その上に肩書きを書き込んだりして来たのかも知れぬ」(本人)
 屈折している(本人)
 映画を善く観る。洋画を好んで観ることに多くの知人は奇異の目を向ける(本人)
 筋金入りの国粋主義者か何かと勘違いされている(本人)
 取り分け好む映画は、「陳腐で代わり映えのしない」勧善懲悪の時代劇映画(本人)
 当時の男の子は皆、強くて偉い軍人や大将には憧れたものだが、それ以上に蝦蟇に乗った児雷也や、剣豪宮本武蔵に心がときめいた。勧善懲悪、あるいは荒唐無稽が良かったのかもしれない(本人)
 幼い頃から時代物が好き(本人)
 如何にも割り切れない、すっきりしない世の中で、長じてからの木場に安心感を与えてくれた(本人)
 美波絹子を最初に見たのは『続・娘同心/鉄面組血風録』(三流娯楽時代活劇)
 美波絹子の写真を恥ずかしい思いをして入手。手帳に挿んである。全ての美波絹子の出演作を観た(本人)
 ぞんざいな口の利き方。礼儀も身分もわきまえない(増岡)
 大層意地悪(増岡)
 太い、武骨な指(本人)
 屈折した三十男、頑健な刑事、屈強な法の番人(本人)
 頑健な男。甲高い声。部下達にきびきびと指示(関口)
 最近様子が変。畑違い――管轄違いの事件に首を突っ込んで勝手に単独行動(青木)
 地獄の邏卒のように立ちはだかっている(関口)
 いかつい刑事(頼子)
 「――父親がいたらこんな具合かな」(頼子)
 武骨な同業者(福本)
 美波絹子が事件の関係者だと云うのに、微動だにしない(福本)
 「見上げたものだ、と福本は思う」
 根っからの刑事(福本)
(ただの通りすがりで、本件に関して、責任がないのに、積極的に関わる姿勢が尊敬されている)
 無愛想で強面取っ付き悪い刑事(福本) 
 福本は好感を抱き始めている(福本)
 怖い顔(福本)
 福本よりも数倍信頼できそうな気がする(頼子)
  ここでは招かれざる客(本人)
 強面(石井)
 改まることのない不遜な態度。
 重ね重ね失礼な男、野蛮(石井)
 相手が熱くなればなる程、どんどん冷めて行く。そんな時、ひと言余計な事を云ってしまう(本人)
 何が正義で何が悪なのか判らなくなっていたが、陽子を外敵から護る箱になったと思ったことで、安定感と活気を取り戻した。
 それが一般的に云う恋愛感情だとは、自身は気づいていない。
 招待は判らないが、明確な敵を持つことが出来た(本人)
 雨宮が慣れた仕草で頼子の肩を抱くのを見て、厭な気分になる(本人)
 それが嫉妬と呼ばれる感情に近いことに木場が思い至る気配は全くない。
 武蔵小金井の自宅について
    窓の桟が微妙に歪んでいて素直に開かない。
    古色蒼然。
    窓から望む景色は殺風景。
    窓を開けると風だけは通る。隙間風は容赦なく侵入して来る。
    冬は寒く夏は暑い。
    室内は更に殺風景。そんな部屋に住んでいる。
 元来まめな男。
 布団の上げ下げこを怠っているが、部屋の整理整頓は行き届いている。
 肩書きのない木場は木場修太郎ですらない(本人)
 嬉しい時、毒づく。
 武骨な刑事。加菜子の見舞いに花ではなく饅頭を持参。考えるより歩け。視て聴いて嗅いで体で知る。考えることと思うことの区別が善く判らない。太い腕。厚い胸板(本人)
 高が名を呼ばれるくらいで腰を折られる程、話術の腰は弱くない(本人)
 「竹馬の友だよ」(榎木津)
 木場は本当は見かけ程武骨な男ではないし、榎木津が云うような猪突猛進型の人間でもない。(関口)
 彼の慎重さや神経質加減は少しつき合えば容易に知れる。(関口)
 本当は違うのに、周囲に対して自分を武骨に見せかけるべく行動しているらしい節はある。そうなのだとすると、彼の本意がどちら側にあるのか、判断に困る。ただいずれにしても彼が、所謂純情な人柄であるらしい(関口)
 


『絡新婦』
 「修さん」(長門)
 「先輩」(木下、青木)
 昭和二十七年には、警視庁捜査一課に配属されてまだ日が浅かった。
 下駄みたいな顔。四角い顔(マキ)
 武骨な外見(本人)
 本庁捜査一課の猛者連の中でも、容貌の厳つさでは一二を争う男。
 短く刈り込んだ針金のような頭髪。
 小賢しく世間に馴染めぬ者(本人)

『塗仏』
 東京警視庁の刑事。巡査部長。細い眼。厳つい顔。頑健な太い頸(本人)
 「漬物石みたいな刑事」「便所の古下駄みたいな顔の男」(お潤)
 生来天邪鬼な質(本人)
 「平素から判り憎い男」(青木)
 小さい口。真っ直ぐな眉。細い眼。肉厚の肩(青木)
 面倒見は良いし健で几帳面だし、取り立てて表情に乏しい訳でもなければ、人一倍気難しい
こともない。少少天邪鬼で要領は悪い(青木)
 常人の感覚では読み切れぬ反応をすることがある(青木)
 決して出鱈目ではないが、まるで先が読めない(青木)
 常に淡淡とした男(保田作治)
 整理整頓は得意。一度手帳を捨てかけた。
 「便所下駄」(お潤)
 「修ッ公」(司)
 「でかいモノ」(潤子)
 頭に軽石が「詰まってるんじゃないかって程」馬鹿(潤子)
 鈍感で単純で気が小さい(潤子)
 天邪鬼でガサツなのに神経質、ブ細工(潤子)
 鈍感な馬鹿刑事(潤子)
 「石橋を叩き壊す馬鹿修」(榎木津)
 積み木人間、四畳半野郎、四角な男、四角な顔、四角人間(榎木津)
寺田兵衛
『魍魎』
 白装束に山伏の被るような頭巾――兜巾と云うのだったか――(頼子)
 御筥様教主。
 (寺田家について)江戸時代、京橋辺りに住んでいた宮大工。三鷹(当時の神奈川県新川村)に居を移したのは明治期の初め頃。その頃の寺田某は、家具や工芸品のような細工ものを造る、独り働きの木工職人のようなもの(鳥口)
 これと云った主張を持たぬ、癖のない凡庸な若者だった。分不相応にも中等学校を出ている。その後、隣町の町工場に就職し、そこで旋盤や溶接の技術を修得したと云う。不平ひとつ云わず黙然と勤めた。ただ父の跡を取り、箱屋を継ぐ意志はあまり持っていなかった(鳥口)
 やがて箱屋が軌道に乗り、職人を雇わねば立ち行かなくなって、どうせ他人を雇うなら――という理由で工場を辞めさせられ、木工の修行を兼ねて家業を手伝うことになる(鳥口)
 父と違い、腕の良い職人だった。仕事の覚えも早く、一人前の木工職人になるのに、そう時間はかからなかった。25、6で嫁を貰う(鳥口)
 腕が良いだけでなく、勉強熱心。家督を継いだあと、若い頃修得した旋盤や溶接の技術を応用し、更なる研鑚を重ねた結果、それまでに類を見ない新商売を考案した、金属の箱造りである。――(中略)――これは当たった。機会の試作品、研究室などの特殊な設備、意外に仕事はあったのだ。大学や軍隊からも発注があったらしい(鳥口)
 兵衛の造る箱は、設計図と寸分違わぬ。正確且つ精密、毛程の狂いもない。正に完璧な箱であったらしい(鳥口)
 「神社仏閣やお神輿など、精緻極まる細工物を熟していた宮大工の血がそうさせるのかもしれぬ」(その頃の本人)
 箱に取り憑かれた。
 太平洋戦争が始まって箱が造れなくなると、荒れた(近所の兵衛を知る者)
 元元近所付き合いが不得意だった(鳥口)
 復員してからは余計に愛想が悪くなり、頑なに心を閉ざし、只管孤独に暮らしていた。
 他人と上手くコミュニケーション出来ぬ不器用な人生。他人ごとではない。
共感を持つ(関口)
寺田忠
『魍魎』
 寺田兵衛の父。
 寺田木工製作所の看板を上げた(斜向かいの駄菓子屋の婆様)