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京極堂人物大事典(仮)
京極堂のファンサイトです
君枝の父
『魍魎』
◆江戸から続く有名な人形師の末弟子だったそうである。名工の誉れ高い師匠や兄弟子達の名は、業界に詳しくない私でも耳にしたことがあった。腕は良く、中でも太閤、神天、金時などを得意とし、若くして独立したと云う[関口]
◆ただ、貧しかった。そのうえ博打が好きだった[関口]
◆元来怠惰な男だった[関口]
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君枝の最初の夫
『魍魎』
◆越後出身の渡りの板前。一見地味だが金回りの良い男だったと云う[関口]
◆子供が嫌いだった[関口]
◆君枝の言葉を信ずるなら――顕かに異常だった。世話をするとか、可愛がるとか云った次元ではない。先ず、触らない。顔も見ない。泣くは疎か声を立てただけで烈火の如く怒ったと云う[関口]
◆君枝が泣き言を云うと、乱暴を働いた[関口]
◆俺のそばにいろ、何故それが出来ぬと、理不尽な要求をして君枝を責めた[関口]
◆男運の悪い女――あるいは性懲りもなく次次男に引っ掛かる馬鹿な女だが、その時の君枝は少し違っている。香具師の持っていた家と結婚したのである[関口]
◆自分の不幸の根源を<定住する箱がない>ことに求めた[関口]
◆<家>に固執した[関口]
楠本頼子
『魍魎』
 柚木加菜子のことが本当に好き[本人]
 加菜子が瞳を閉じて、凝乎と音楽に聴き入っている時、頬や瞼に「そおっと」唇を当てたくなるが、同性愛嗜好者(レズビアン)ではない[本人]
 父親がいない。暮らし向きも裕福とは云えない。母が無理して入れた学校がぼんやりと苦痛[本人]
 学校で学ぶものは劣等感だけ[本人]
 容姿が優れている。
 母が連れて来る酒臭い男達が揃って好色な視線を向けるほど整った顔だち。
 幻想的で不思議な話がちょっと好き[本人]
 紅茶を飲み慣れていない。砂糖をたっぷり入れる[本人]
 長じるにつれて、母の美しさを男好きのする淫らな容姿、優しさを押し付けがましい愛情と思うようになる[本人]
 「頼ちゃん」[君枝]
 「楠本君」[加菜子]
 「少女」[木場]
 綺麗な顔。三つ編み。化粧気のない顔。生まれたての赤ん坊を思わせる肌理の細かい膚。「艶めかしさとあどけなさの同居した、不思議な生物」後五年か、十年経てばかなり美人になると思われる[木場]
 十四歳
 女になりかけている[木場]
 「制服を着た少女」[木場]
 木場が見覚えのある制服[木場]
 祈るような悲壮な表情[木場]
 「涙のひとつも流したら大抵は話がつく。その技が通用しないのは級友達くらいのものだ」「泣いてやった」[本人]
 眼差しが真摯[木場]
 本質が善く理解出来ない。嘘を吐いている訳ではないのだろうが、言葉のひとつひとつに現実感がない。
 どこか虚構染みている[木場]
 額面通り受け取ってはいけない[木場]
 小柄で華奢な体つき。濃紺のブレザージャケットに同色のスカート。綺麗な顔の娘[関口]
 無垢な少女[関口]
 昭和十三年の秋、誕生
 直山が嫌いのようだった[君枝]
久保竣公
『魍魎』
 昨年の暮れ、処女作の『蒐集者の庭』で文化藝術社主催の本朝幻想文学新人賞を受賞(山嵜)
 あまち関口の好きなタイプではない(関口)
 眉墨でも引いたようなくっきりとした細い眉。きついが涼しげな目元。どちらかと云えば美男子。髪の毛も如何にも手入れを怠っていないぞと云わんばかりに整えられている。整髪料の香りもする。身嗜みもちょっとした紳士(関口)
 白い手袋。防寒用ではなく、写真屋が嵌めているような薄手のもの。異様と云えば異様(関口)
 手先に何やら障碍があるらしい(関口)
 脳梗塞で倒れた荒川敦先生の代打であることについて→「埋め草」「駆け出し」(本人)
 関口の作品は総て読んでいる(本人)
 相手の話を最後まで聞かぬ性質(関口)
 才能も度胸も、関口は足下にも及ばない(関口)
 「青年文士」(関口)
 楚木逸巳が関口であることを見抜いているらしい(関口)
 白地に小馬鹿にした呼び方で関口に話しかけた(関口)
 相変わらずきっちり整髪し、面相筆で書いたような細い眉と、切れ長の目が吊り上がっている。黒い本天鷲絨(ビロード)のジャケットを着て、ネクタイの代わりにチーフをあしらった一寸した紳士である(関口)
 相変わらずの白手袋(関口)
 嘘吐き(関口)
 ナイフの如き鋭さ(関口)
 「彼は野趣溢れるマタギ料理でもする人か?それともアステカの神官か?」
 「医者には見えないな」(榎木津)
 
楠本君枝
『魍魎』
 雛人形の頭を作っている。若い頃は大層綺麗な女性だった[頼子]
 母程美しい人は知らなかったし、母程優しい人は存在しなかった[頼子]
 すべすべした肌は、かさかさと乾き、張りのあった顔に皺が刻まれていく。柔らかかった指は節くれだち、髪に白髪が混じる。刻一刻と醜くなっている[頼子]
 苦労して頼子を学校に入れた[本人]
 薄気味悪い母親[頼子]
 人の中に牛でも混じったように愚鈍な声[頼子]
 薄汚れたブラウスに煤けたスカート、乱れた髪を纏めるでもなく、おまけに汚いサンダル。相変わらず化粧をしていないから、もの凄く醜い。不恰好[頼子]
 頼子が「母さんなんか死ねばいいんだ」と言った翌日からおかしくなる。「もうりょう」と口にするようになり、落ち着きがなくなる[頼子]
 皺に刻まれた醜い顔[頼子]
 突然、「出て行け!もうりょう!」と頼子に掴みかかる[頼子]
 三十代半ばの頭師[関口]
 人形業界で云う三月物――雛人形を得意をしているらしい[関口]
家について
    家は三辻[しんにょうが辷]の角にあるため二辺を道に晒している。
   木造の平家で、道に面した低い板塀の内側に申し訳程度の庭がある。
   そこには貧弱な柿の木が植えられているが、平家の屋根を越す程の高さ
   すらない。隣家とも少し隙間が開いている。おまけにその隣家は二階家
   で、錆びたトタン板が瓦屋根の向こうに覗いている。反対側はどうやら
   空き地のようだ。
    比較対象物がないのだ。だから余計にスケール感が狂い、箱庭の中の
   建物のような印象になる。
    戸口は閉門にされた武家屋敷のように板が十文字に渡され、釘で打ち
   付けられている。ただし厳重と云うまでには及ばない。[関口]
 思ったよりずっと若かった。化粧も一切していないし、服装も質素と呼べる範囲を通り越している。普通であればこのような身なりをしたなら十は老ける。なのに君枝は十分若い。欲目に見ても歳相応には見える。元来若作りなのか。明瞭[はっきり]した目鼻立ちの、所謂美人なのである[関口]
 窶れていると云うか、疲れていると云うか、何か芯が抜けているのだ[関口]
 顔色の悪さは、この不幸な境遇に依るものではなく、不摂生や栄養失調から来るものではないか。目の焦点が合わぬのも、同様の理由に因るものだろう[関口]
 上げた顔に深刻さはない。ただ、疲労困憊している[関口]
 知人を介した、最初の夫との離婚の交渉は呆っ気なく認められた[関口]
 その後何人かの男に騙され、辛酸を嘗めるが如き日日を延延を送る。それでも君枝は頼子だけは手放さずに、それは大事に育てたらしい[関口]
 戦争中は古い縁故を頼りに、父の兄弟子の許に身を寄せていたと云う。その兄弟子は面倒見が良く、頼子にも良くしてくれた。彼の故郷は福島だったから、一緒に疎開して、そこで人形作りを教わったのだと君枝は云った。当時、君枝の父より年上の五十代後半の兄弟子に、親切の代償に肉体を求められ、愚かなことに拒まなかった[関口]
木場修太郎
『魍魎』
 今年で三十五歳。
 東京警視庁刑事部捜査一課の刑事。半年前、豊島区の所轄から本店に配属替え。先月(七月)上旬、所轄にいた頃関わった雑司ヶ谷の事件が終結を迎え、ひと月その後始末にかかりきりだった(本人)
 職業軍人だった(本人)
 終戦によって<敵>を喪失した(本人)
 敵と味方、善と悪と云った二元論的単純構造のみが居心地の善い世界(本人)
 警察を「法に背く者、制度からはみ出した者を取り締まり、指導したり摘発したりするとこと」と認識している(本人)
 ヘルシンキオリンピック(昭和二十七(1952)年、七月十九日~八月三日)を随分楽しみにしていたが、仕事に終われている内に終わっていた。
 中央線武蔵小金井駅が自宅の最寄駅。
 女性と巧くコミュニケーションがとれない(本人)
 女友達と云うものは存在しない(本人)
 柚木加菜子に見覚えがある(本人)
 知っている女は、鬼のような婦警か、悪魔のような犯罪者か、死骸(本人)
 凄むとかなりの迫力がある。ちんぴら程度なら睨むだけでいとも簡単に震え上がらせることが出来る(本人)
 「威圧的な同業者」(福本)
 巡査部長。駅から自宅まで歩いて十三分丁度(本人)
 実家は小石川で石屋。豊島区の所轄時代はそこから通勤。配属替えを機に家を出たが、本心では妹夫婦への遠慮があった。桜田門に通うには不便だが、何もないすかっとした小金井町を結構気に入っている。
 一人だけ片思いをしている相手は、美波絹子(本人)
 絵を描くのが好きな、神経質な子供だった(本人)
 几帳面、算盤が得意だった(本人)
 頑健な体格、魁偉な容貌(本人)
 針金のように太い髪の毛。異様に張り出た鰓。四角い顔に逞しい体。
 不器用(本人)
 冗談の利く男、容貌のわりに話術も巧み。水商売の女からは人気がある。
 生来聞き上手。
 相手が商売女だと、気楽に振る舞えるが、素人がとなるとからきし駄目(本人)
 「自分は中身の入っていない菓子の箱のようなものだ――」(本人)
 箱は丈夫で外から刺激には大層頑丈(本人)
 「三十五年間の間、別に手を抜いて生きて来たつもりはないが、結果的に外箱の紙を厚くしたり、その上に肩書きを書き込んだりして来たのかも知れぬ」(本人)
 屈折している(本人)
 映画を善く観る。洋画を好んで観ることに多くの知人は奇異の目を向ける(本人)
 筋金入りの国粋主義者か何かと勘違いされている(本人)
 取り分け好む映画は、「陳腐で代わり映えのしない」勧善懲悪の時代劇映画(本人)
 当時の男の子は皆、強くて偉い軍人や大将には憧れたものだが、それ以上に蝦蟇に乗った児雷也や、剣豪宮本武蔵に心がときめいた。勧善懲悪、あるいは荒唐無稽が良かったのかもしれない(本人)
 幼い頃から時代物が好き(本人)
 如何にも割り切れない、すっきりしない世の中で、長じてからの木場に安心感を与えてくれた(本人)
 美波絹子を最初に見たのは『続・娘同心/鉄面組血風録』(三流娯楽時代活劇)
 美波絹子の写真を恥ずかしい思いをして入手。手帳に挿んである。全ての美波絹子の出演作を観た(本人)
 ぞんざいな口の利き方。礼儀も身分もわきまえない(増岡)
 大層意地悪(増岡)
 太い、武骨な指(本人)
 屈折した三十男、頑健な刑事、屈強な法の番人(本人)
 頑健な男。甲高い声。部下達にきびきびと指示(関口)
 最近様子が変。畑違い――管轄違いの事件に首を突っ込んで勝手に単独行動(青木)
 地獄の邏卒のように立ちはだかっている(関口)
 いかつい刑事(頼子)
 「――父親がいたらこんな具合かな」(頼子)
 武骨な同業者(福本)
 美波絹子が事件の関係者だと云うのに、微動だにしない(福本)
 「見上げたものだ、と福本は思う」
 根っからの刑事(福本)
(ただの通りすがりで、本件に関して、責任がないのに、積極的に関わる姿勢が尊敬されている)
 無愛想で強面取っ付き悪い刑事(福本) 
 福本は好感を抱き始めている(福本)
 怖い顔(福本)
 福本よりも数倍信頼できそうな気がする(頼子)
  ここでは招かれざる客(本人)
 強面(石井)
 改まることのない不遜な態度。
 重ね重ね失礼な男、野蛮(石井)
 相手が熱くなればなる程、どんどん冷めて行く。そんな時、ひと言余計な事を云ってしまう(本人)
 何が正義で何が悪なのか判らなくなっていたが、陽子を外敵から護る箱になったと思ったことで、安定感と活気を取り戻した。
 それが一般的に云う恋愛感情だとは、自身は気づいていない。
 招待は判らないが、明確な敵を持つことが出来た(本人)
 雨宮が慣れた仕草で頼子の肩を抱くのを見て、厭な気分になる(本人)
 それが嫉妬と呼ばれる感情に近いことに木場が思い至る気配は全くない。
 武蔵小金井の自宅について
    窓の桟が微妙に歪んでいて素直に開かない。
    古色蒼然。
    窓から望む景色は殺風景。
    窓を開けると風だけは通る。隙間風は容赦なく侵入して来る。
    冬は寒く夏は暑い。
    室内は更に殺風景。そんな部屋に住んでいる。
 元来まめな男。
 布団の上げ下げこを怠っているが、部屋の整理整頓は行き届いている。
 肩書きのない木場は木場修太郎ですらない(本人)
 嬉しい時、毒づく。
 武骨な刑事。加菜子の見舞いに花ではなく饅頭を持参。考えるより歩け。視て聴いて嗅いで体で知る。考えることと思うことの区別が善く判らない。太い腕。厚い胸板(本人)
 高が名を呼ばれるくらいで腰を折られる程、話術の腰は弱くない(本人)
 「竹馬の友だよ」(榎木津)
 木場は本当は見かけ程武骨な男ではないし、榎木津が云うような猪突猛進型の人間でもない。(関口)
 彼の慎重さや神経質加減は少しつき合えば容易に知れる。(関口)
 本当は違うのに、周囲に対して自分を武骨に見せかけるべく行動しているらしい節はある。そうなのだとすると、彼の本意がどちら側にあるのか、判断に困る。ただいずれにしても彼が、所謂純情な人柄であるらしい(関口)
 


『絡新婦』
 「修さん」(長門)
 「先輩」(木下、青木)
 昭和二十七年には、警視庁捜査一課に配属されてまだ日が浅かった。
 下駄みたいな顔。四角い顔(マキ)
 武骨な外見(本人)
 本庁捜査一課の猛者連の中でも、容貌の厳つさでは一二を争う男。
 短く刈り込んだ針金のような頭髪。
 小賢しく世間に馴染めぬ者(本人)

『塗仏』
 東京警視庁の刑事。巡査部長。細い眼。厳つい顔。頑健な太い頸(本人)
 「漬物石みたいな刑事」「便所の古下駄みたいな顔の男」(お潤)
 生来天邪鬼な質(本人)
 「平素から判り憎い男」(青木)
 小さい口。真っ直ぐな眉。細い眼。肉厚の肩(青木)
 面倒見は良いし健で几帳面だし、取り立てて表情に乏しい訳でもなければ、人一倍気難しい
こともない。少少天邪鬼で要領は悪い(青木)
 常人の感覚では読み切れぬ反応をすることがある(青木)
 決して出鱈目ではないが、まるで先が読めない(青木)
 常に淡淡とした男(保田作治)
 整理整頓は得意。一度手帳を捨てかけた。
 「便所下駄」(お潤)
 「修ッ公」(司)
 「でかいモノ」(潤子)
 頭に軽石が「詰まってるんじゃないかって程」馬鹿(潤子)
 鈍感で単純で気が小さい(潤子)
 天邪鬼でガサツなのに神経質、ブ細工(潤子)
 鈍感な馬鹿刑事(潤子)
 「石橋を叩き壊す馬鹿修」(榎木津)
 積み木人間、四畳半野郎、四角な男、四角な顔、四角人間(榎木津)
柿崎芳美
『魍魎』
 不良娘。不良少女。十五歳で美人局をしていた。川崎の写真屋の娘。相当ぐれている。父が国治。母が貞(鳥口)
 アプレゲール、GI等不特定多数の『男』と不埒なる関係を結ぶ娘との噂(清野メモ)
 
清野
『魍魎』
 22日(8月)に鳥口の会社の編集室に電話。陰に籠った声(鳥口)
 顔の浮腫んだ陰気な男(鳥口)
 学歴はあるが社交的ではない。執念深い性質の男(京極堂)
小泉珠代
『魍魎』
 稀譚舎の雑誌『近代文藝』で関口を担当する編集者(関口)
 しおらしい口調は珍しい(関口)
 中禅寺敦子の紹介で関口と知り合う。初対面の関口と歌舞伎の話をした(関口)


『塗仏』
 『近代文藝』の編集者。関口の担当者。
 痩身(関口)
工藤信夫
『塗仏』
 新聞配達員。
 昨年の秋頃から執念深く三木春子に付き纏っている(春子)。
 一週間おきに彼女の行動を手紙にして送りつける。